西本浩一主導の物流不動産REITsポートフォリオ、年率12%のリターンを達成――マクロとミクロを統合した戦略の成功事例

世界的なEコマースの拡大とサプライチェーン再構築の動きが重なる中、物流不動産は近年、最も成長が期待されるオルタナティブ資産クラスとして注目を集めています。ベテラン投資家・西本浩一氏は、こうしたマクロ動向をいち早く見抜き、市場の注目が高まる以前から日本の物流REITs市場に対して体系的なポジションを築いてきました。その結果、同氏が運用する物流REITsポートフォリオは、年率12%という卓越したパフォーマンスを実現しています。この成果は、「二軌道価値投資法」――すなわちマクロ経済トレンドの分析と、個別資産の精緻な選定を融合させた戦略の有効性を、実証するものです。

西本氏は、物流不動産への投資は、単なる不動産市場の一形態ではなく、産業構造の本質的な変化に根差していると強調します。急拡大するEコマース市場は、倉庫需要を急速に押し上げると同時に、物流拠点の高度化・自動化への要求を強めています。加えて、ポストコロナ時代の企業が重視するサプライチェーンの「地政学的分散」および「在庫の地元化」は、先進的物流施設への需要をさらに高めています。日本はアジアにおける物流ハブとして重要な地位を占めている一方で、高規格の倉庫供給が限られており、この需給ギャップこそが、REIT投資にとって構造的な優位性を形成しています。

個別銘柄の選定にあたっては、西本氏は複数の視点から精緻な分析を行っています。重点的に投資するのは、主要物流拠点に立地し、高い建築スペックを備え、堅実なテナントポートフォリオと長期賃貸契約を有するREITです。さらに、自動化やスマート化といった次世代物流への対応力を重視し、産業構造の変化に対応できる柔軟性を持つ資産を厳選しています。また、REITの運営会社が持つ資産運用能力――賃料交渉力、運営コストの抑制力、ポートフォリオ再構築戦略など――にも細心の注意を払い、これらが配当の持続性や資産価値の中長期的な成長に直結する要素であると評価しています。

リスク管理の面では、単一のREITや地域への依存を避けるために、複数の物流REITに分散投資する戦略を取っています。また、物流需要に影響を与えるマクロ経済環境の変化をリアルタイムでモニタリングし、防御性と成長性のバランスを柔軟に調整する体制を構築しています。加えて、金利変動リスクに対してはデリバティブ(利率スワップ等)を活用したヘッジを実施しており、金融政策の変化がリターンに過度に影響することを防止しています。

西本氏は、「物流REITの価値は安定的な分配金収入にとどまらず、資産そのものの中長期的な値上がり余地にもある」と語ります。日本国内のEコマース普及率のさらなる上昇や、サプライチェーンの高度化が進展する中で、優良な物流施設の希少価値はますます高まると見ています。このような資産は、「マクロトレンドの成長と個別資産の堅実性を融合する」という二軌道価値投資法の理想を体現する存在であり、経済サイクルを超えて安定的な収益をもたらす投資対象として、長期投資家にとって極めて魅力的な選択肢であるとしています。