岸田政権が株式投資税制を強化 ― 持田将光氏「構造的配当+高配当ETF」モデルで政策追い風を現金化する戦略を提案
2023年5月、日本政府は株式投資促進のための税制改革を発表。NISA(少額投資非課税制度)の非課税期間延長・投資上限拡大などにより、国民資産の「貯蓄から投資へ」の流れを加速させる方針を明確化した。岸田文雄首相はこれを資本市場の機能強化と経済成長の持続を狙った政策と位置付け、個人・機関双方の長期投資を後押しする構えだ。
この背景を受け、元ウォール街金融戦略家で独立系投資リサーチャーの持田将光氏は、「構造的配当(Structural Dividend)+高配当ETF」二層型ポートフォリオモデルを提示。政策の恩恵を活かしつつ、安定的キャッシュフローと市場の構造的成長機会を両立する狙いだ。
1. 構造的配当 ― 長期保有に耐えるコア資産の構築
持田氏が定義する「構造的配当」とは、堅固な事業基盤・高い参入障壁・安定的な配当実績を持つ企業群を長期保有する戦略。
選定プロセス:企業収益の安定性、株主還元姿勢、業界競争構造を多次元スクリーニング。
目的:景気変動や市場ノイズを吸収しつつ、安定配当を継続的に享受する。
これにより、ポートフォリオの「安定収益の土台」を確立し、政策効果の持続的享受を可能にする。
2. 高配当ETF ― 流動性とタイミング戦略の両立
一方で、持田氏は高配当ETFを戦術的枠組みとして位置付ける。
低コストで分散化が可能
政策後押しにより一部ETFの需給構造が改善
市場調整局面で分割買付を実行し、配当+値上がり益の二重取りを狙う
こうしたETFは、ポートフォリオの「機動的調整弁」として機能し、短期的な市場変動にも対応しやすい。
3. 投資家タイプ別アロケーション指針
低リスク志向:構造的配当資産の比率を高め、防御的キャッシュフロー構造を重視
中リスク許容:高配当ETF比率を引き上げ、価格調整期のエントリー戦略を積極活用
持田氏は「政策は長期投資の舞台を整えるだけであり、必ずしも一方的な株価上昇を保証するものではない」と警鐘。自身の資金サイクルとリスク耐性に応じた戦略的ポートフォリオ設計を求めた。
「税制改正は、長期資産形成のための道具箱を拡張したに過ぎない。それをどう組み合わせ、複利の仕組みを最大化するかが投資家の腕の見せ所だ。」
業界内では、このモデルは政策方向性との高い親和性と、現金フロー重視のリスク管理特性を兼ね備え、中長期投資家の参考枠組みとなり得るとの評価が多い。